「売買契約を締結するまでは頻繁に連絡をくれる営業担当が、契約後はさっぱり連絡がない。」
というのは初めて中古マンションを購入した人からよく聞く話です。
仲介会社によっては、契約までは営業担当、その後の手続きは社内の別部署が行うというように、分業制の会社もあります。
そういう意味では、契約後の手続きは流れ作業・業務処理、という位置づけなのかもしれません。
とはいえ、購入したお客様からみれば売買契約よりも物件引き渡し、住宅ローンの契約、残代金の支払いの方がはるかに大事なイベントだと言えます。
これらの一連の手続きの詳細を十分に説明している記事が少ないようなので、実際にあったお客様からの質問に答える形で取り上げてみたいと思います。
決済には出席しないとダメなのか?会社が休めないかもしれません
決済とはお金の支払いと物件の引渡しを行うことです。
その日をもって正式に買主様の名義になり、カギを引き渡してもらうことにより室内に自由に入室できるようになります。
この説明だけ聞くと、本人が出席しなくても大丈夫だろうと思いますよね。
仕事が休めないので代わりに妻に行ってもらおう、とか。
事前に十分な準備を行えば代理人でも対応ができますが、本人が出席することを前提に話が進んでいます。
そのため、急な予定が入ったので欠席します、というのはできません。
決済日には本人でなければできない手続きが2つあります。
1つ目はお金を支払うこと。
2つ目は物件を売主名義から買主名義に変更することです。
これら2つの手続きを事前に済ませておくことができれば、決済日は代理人でも問題ないと言えます。
お金の支払いのためには銀行で振り込み手続きをおこなう
送金するためには本人が行わなければなりません。
もし代理人で手続きをするのであれば、事前に金融機関に確認をします。
また、最近ではネット銀行は事前に送金予約を行うことで、当日の手続きを簡略化しています。
この場合は本人が決済場所にいなくても送金は可能です。
どちらにしても、お金の支払い方法について事前に金融機関に確認することによって複数の対応方法が考えられます。
名義変更(登記手続き)を依頼する司法書士の本人確認がある
当日、司法書士へ登記を依頼するため委任状等の書面に捺印を求められます。
合わせて、本人確認として免許証などを提示します。
これらは名義人が買主本人であることを確認するために必ず必要なことです。
もし当日欠席するのであれば、事前にこれらの手続きを済ませておきましょう。
当日でなければできない手続きではありません。
住宅ローンでは足りない分は現金で持参するのか
例えば、5,000万の物件に対して3,000万の住宅ローンを組む場合、2,000万は自己資金で支払うことになります。
契約時に手付金として500万を支払っているなら、決済日には1,500万を自己資金として準備しておくことが必要です。
住宅ローンの3,000万は借入をした金融機関から、売主の口座に送金します。
では、自己資金1,500万はどのように支払えばいいのでしょうか?という質問です。
一般的には、3,000万を借入する金融機関の口座に事前に入れておくことになります。
これによって、決済日は住宅ローンを借りた金融機関から送金手続きをするだけで完了となります。
決済日の午後に引っ越し業者を手配したけど入居できるのか
朝9時から決済開始であれば、おそらく入居できます。
決済の完了は売主の口座にお金が入金されたときです。
送金手続きまではスムーズに進みますが、売主の口座に入金するまでに時間がかかることがあります。
銀行間のデータのやり取りのため、その場にいる誰かの努力によって時間を短くできるものではなく、ただ待つだけしかありません。
短いときは30分、長いときは120分くらい待つこともあります。
そのため、できることは開始時間をできるだけ前倒しすることしかないです。
また、銀行が混雑する月末や5日、10日などを避けることで、入金待ちの時間を短くできます。
とはいえ、確実に〇〇分で終わる、というものではないため、「午後に入居できると思います」としか言えないのがつらいところです。
決済場所はどこでもいいの?午前休を取ったので、できれば職場の近くがいい
これはお金の送金方法によって決まります。
ネット銀行で事前に送金予約をしているなら、どこでもできます。
一方、当日金融機関の窓口で行わなければならないなら、金融機関指定の場所(支店・住宅ローンセンター)になります。
地銀、信金などでは住宅ローン融資を実行する支店でなければダメということも少なくありません。
そのため、近くに支店があるから大丈夫だろうと思い込んでしまうと危ないので、早めに仲介会社に相談しておきましょう。
まとめ
仲介会社からの視点でみると、決済がスムーズにできるかどうかは準備で100%決まります。
そのため、本来なら売買契約前より頻繁に連絡あってもいいと思うのですが、実際には決済2週間前くらいにならないと連絡がもらえないこともあります。
その時点で、「私は出席できません」と伝えると、「急な変更は困ります」と言われてしまいます。
先方から連絡が無くても、こちらからしつこいくらいに確認することでちょうどいいくらいです。
仕事でいう「指示待ち人間」になってしまうことがないよう気を付けてください。