住宅購入直前!ファイナンシャルプランナー選びの注意点
ファイナンシャルプランナーに相談すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
一般的には以下のようなメリットが挙げられます。

1.適切な予算設定ができる
ファイナンシャルプランナーは、お客様の収入、支出、貯蓄、将来の目標などを総合的に分析し、無理のない予算設定のアドバイスをします。これによって過大なローンを組んでしまうリスクを軽減できます。

2.住宅ローンの選択支援
住宅ローンにはさまざまな種類があり、固定金利・変動金利、団体信用生命保険、保証料型・手数料型、フラット35など、どのようなローンが最適かをお客様自身で判断するのは簡単ではありません。ファイナンシャルプランナーはこれらの選択肢について詳しく説明し、最適なローンを選ぶ手助けをします。

3.税金・補助金のアドバイス
住宅購入には住宅ローン減税や贈与税の非課税枠などの税制優遇があります。また、リフォームや古家解体等には補助金制度が設けられています。ファイナンシャルプランナーはこれらの制度を活用するためのアドバイスをします。

4.総合的な資産形成のサポート
住宅購入は資産形成の一つと言えます。ファイナンシャルプランナーは住宅購入を含むライフプラン全体の中で、どのように資産を形成し増やしていくか、保険や貯蓄等を含めた総合的なアドバイスをします。

ファイナンシャルプランナーに相談することで、安心して住宅購入を進めることができ、将来の経済的な安定を確保する手助けとなります。

それでは、どのファイナンシャルプランナーに相談しても、あなたに寄り添ったアドバイスをしてもらえるものなのでしょうか?

「しつこく保険の勧誘をされるのでは?」
「結論ありきで、私たちに合う提案をしてもらえないのでは?」

このような不安を感じている方は多いのではないでしょうか?

本稿では住宅購入前にファイナンシャルプランナーへの相談を考えている方に知っておいて欲しいこと、注意して欲しいことを解説しましたので参考にしてください。

ファイナンシャルプランナーができること

私が思うに、ファイナンシャルプランナーとの相談でお客様が求めているのは、

「これから先、住宅ローンの返済が続けていけるのか?」

という疑問に対する、数字を用いた具体的な説明ではないでしょうか。

この疑問に付随して、
・二人目の子供が産まれて、教育費がかかってもやっていけるのか
・自分が老後になったとき、年金と貯金で生活していけるのか
・5年後に住み替えるとき、無理なく買い替えができるのか

というような、お客様自身のライフプランを踏まえて、住宅ローンの返済が問題なく続けられるのか知りたいのではないでしょうか。

これに対する回答は、ファイナンシャルプランナーがキャッシュフロー表を作成して具体的に説明することになります。

キャッシュフロー表とは、お金の出入りを時系列で記録し、収支のバランスを把握するための表です。

キャッシュフロー表を作成することには以下のようなメリットがあります。

1.収支の把握
毎月の収入と支出を詳細に把握できます。これにより、どれだけのお金が手元に残り、どれだけが支出に回っているのかを明確に理解できます。

2.将来の計画立案
将来の収入や支出を見積もり、長期的な資金計画を立てることができます。例えば、教育費、住宅ローン返済、老後資金など、将来必要になるお金を事前に計画することが可能です。

3.目標達成のサポート
目標に向かって計画的に資金を管理できるため、例えば住宅購入や旅行、子供の教育資金などの具体的な目標に向けて、効率的にお金を貯めることができます。

4.リスク管理
突発的な支出や収入の減少に備えて、十分な予備資金を確保する計画を立てることができます。また、ライフイベントや経済的な変動による影響を事前にシミュレーションすることで、リスクに対応しやすくなります。

このように、キャッシュフロー表を作成することでお客様の不安を具体的な数字に落とし込んで説明、解消することができるようになります。

また、キャッシュフロー表を作成するということは、

・これからのライフプランを想像する(夫婦であれば、話し合う)
・今の家計状況を把握する

の2点が必須です。

ファイナンシャルプランナーの仕事は、お客様の現状を把握し、将来の夢・計画をお聞きした上で、それらをキャッシュフロー表に落とし込むことと言えます。

現状把握が甘かったり、ライフプランのヒアリングがおざなりになってしまうと、それの基づくキャッシュフロー表は非現実的であり、お客様としては「なんだかピンとこない提案」と感じるでしょう。

ファイナンシャルプランナーとしては、「なるほど」「それは気づかなかった」と思ってもらえるような視点からキャッシュフロー表の提案をすることが腕の見せ所といえます。

住宅購入前に相談するファイナンシャルプランナーを選ぶときに気を付けたいこと

ファイナンシャルプランナーといっても、活動範囲は広く、人によって得意分野は様々です

ファイナンシャルプランナーが活躍している代表的な例として以下のようなものがあります。

保険会社に勤めていて、新規保険獲得の一環としてファイナンシャルプランナーの知識を活かしている人。

不動産会社に勤めていて、住宅販売の一環としてファイナンシャルプランナーの知識を活かしている人。

・ファイナンシャルプランナーとして独立し、個人事業主としてお客様にFPサービスを提供している人。

初めてファイナンシャルプランナーに相談しようと思ったときに悩まれるのが、どのファイナンシャルプランナーに相談するのが良いのか、ということではないでしょうか?

特に住宅購入前であれば、以下のポイントに気を付けて探すことをおすすめします。

特定の企業・団体に属しているのかどうか

銀行
どこの企業だったら良いか・悪いか、独立系が良い、ということではありません。

保険会社、不動産会社に限らず、どこか特定の企業・団体に所属しているということは、その企業・団体に影響を受けているファイナンシャルプランナーといえます。

現在勤務しているかどうかも大事ですが、ファイナンシャルプランナーの経歴において、過去に所属していた企業・団体を知ることは参考になります

当たり前のことですが、ファイナンシャルプランナーが経験してきたことが、お客様への提案に大きく影響します

私がFP協会の相談員を務めていたときに感じたことですが、その業界に勤務した経験がないファイナンシャルプランナーほど、悪い事例を挙げて不安を煽る傾向があります

保険の見直しの提案では、公的保険のメリットを並べて、保険は不要(又は大きく減らす)という展開が多かったと記憶しております。

また、住宅ローンの相談では変動金利のデメリットを説明して、固定金利をおすすめしていることもありました。

不動産会社の作成する資金計画書は変動金利で計算されていることが多く、その点も悪質であるということも付け加えて説明されていました。

私自身でいえば、不動産業界(しかも売買)に携わった経験が長いことから、賃貸より持ち家を推奨する派です。また、資産運用のアドバイスと言われたら、株・投資信託よりも不動産投資の説明に力が入ってしまいます。

ファイナンシャルプランナーに相談すれば中立・公正なアドバイスがもらえるものと思っている人がいるなら、それは全くの勘違いです。

過去の経歴等によって偏ったアドバイスになっていること知ったうえで聞くくらいがちょうどよいでしょう。

そして、住宅購入前に相談をするなら、やはり不動産業界の経験があるファイナンシャルプランナーがふさわしいでしょう。

相談料・報酬がどこから支払われているのか

家とお金
自分たちにピッタリくる提案が欲しいと思うのであれば、あなたが直接相談料・報酬を支払う形でファイナンシャルプランナーと契約することをおすすめします。

しかし、相談無料を前面に押し出して広告をしているのを目にすると、わざわざ有料で相談しなくてもいいのではないかと思えてきます。

お客様が支払う相談料が無料というだけであって、そこに携わる関係者の中ではしっかりと報酬が支払われていることは知っておいてください。

つまり、相談料ではなく商品(保険・不動産・その他…)を販売することで報酬を得ている場合があること。

また、お客様からではなく、紹介元から相談料相当額を得ている場合があること。

前者のケースは分かりやすく、無料相談とセールスがセットで行われます。

「なんだ、結局保険のセールスかよ…」と思ったことがある方も多いと思いますが、あれのことです。

後者のケースは一見すると分かりづらいです。

例えば、不動産会社主催のセミナー後の無料相談があります。

相談料をお客様からいただいておりませんが、セミナー+相談会で主催者から報酬を得ています

それが講師料の対価なのか、相談料の対価なのかは区別ができませんが、ポイントはセミナー主催者から報酬を得ていることです。

ファイナンシャルプランナーとしては、主催者に配慮したセミナー内容を考えて、主催者に利益が出るような個別相談対応になる傾向があります。

どちらのケースも、相談をしたいあなたが直接ファイナンシャルプランナーを探しておらず、報酬を支払わない形です。

少なくても、あなたが自分自身で探して、報酬を支払う形の依頼をすることをおすすめします。

住宅購入という大きな買い物をすることを考えれば、1万前後の相談料は決して高いものではありません。

どのような成果物がもらえるのか

ヒアリング内容、キャッシュフロー表を何ページにもわたって丁寧に解説された資料を納品してもらえると、素晴らしいアドバイスをもらった気持ちになりませんか?

ファイナンシャルプランナーからみれば、資料を作成するための時間もコストであり、当然、それを含めた価格(相談料)設定となっています。

一方で、成果物がキャッシュフロー表1枚だけであったら、どうでしょう?

1万円近い相談料を支払ったので、出てきたものがたったこれだけ?・・・
と感じる方もいらっしゃるでしょう。

ファイナンシャルプランナーに相談した結果を妻(又は夫)や両親と共有して、自分以外の誰かの意思決定を仰がなければならない方であれば、しっかりとした資料がないと話が進められません。

一方で、住宅購入の決断を迫られているときに、購入しても問題ないかどうかの結論を知りたいだけであれば、素早く簡潔な資料をもらうだけでも十分ではないでしょうか。

私の相談ではキャッシュフロー表のデータをお渡しするだけです。

2-3パターンのキャッシュフロー表を提示して、資金計画に無理がないかどうか説明します。

また、データはそのままお渡しします。後日、お客様の好きなように使っていただき、ご自身でシミュレーションしていただくためです。

住宅購入前にご相談に来られる方はとにかく急いでいることが多いです。

今週末に契約を迫られているので、ストップすべきか、契約してもいいか判断をしたいのです。

決断するために必要な情報を素早く提供するためには、成果物にこだわることはせず、限られた時間は説明時間に費やすことが良いと思っています。

ファイナンシャルプランナーに相談するときは、自分の相談目的に応じた対応をしてもらえるのかどうか確認してみてください。

まとめ

ファイナンシャルプランナーの得意分野や考え方は人それぞれです。

誰に聞いても同じ答えが返ってくるわけではなく、あなたへのアドバイスはファイナンシャルプランナーの経歴・経験に大きく左右されます。そのことを踏まえて相談に臨んでください。

また、住宅購入に関するアドバイスを求めるのであれば、自分で探して、相談料を支払っても良いと思えるファイナンシャルプランナーに相談してください。

ちなみに、私に相談依頼を下さった方の多くは、FP協会の「CFP®認定者検索システム」からのお問い合わせです。

相談したいファイナンシャルプランナーが見つからない方は一度CFP®認定者検索システムをのぞいてみてはいかがでしょうか。