ネットで物件探しを始めました。物件の見学や住宅ローンの相談はどこに行けばいいのでしょうか?
同じ業界で長く働いていると気づかないことが増えてきます。
この質問を受けたとき、きっと私はそういう状態だったのでしょう。

古い話で恐縮ですが、私が不動産業界で働き始めたのはもう20年くらい前です。

ネットで集客するような時代ではなく、チラシ配布・新聞折込広告・住宅情報誌に掲載をして反響を待っていました。

どの媒体も、購入検討客の立場でいえば積極的に情報収集をしないとお目当ての物件が見つからないような時代です。

ポスティングされたチラシの物件がたまたま希望の物件だったとして、価格の妥当性を知るために他に似たような物件があるかどうか調べたくても、その術がありません。

時代は変わって、今ではネットで簡単に物件探しができます。

比較検討することもネットで調べればアッと言う間です。

タイトルにある「物件の見学はどこに問い合わせればいいのでしょうか?」という、思いもよらない質問をいただいたときは驚きました。

えっ、ネットで物件探しているんだったら、そのページの最後らへんに記載されている不動産会社だよ。そんなの常識でしょ!と一蹴したくなるような質問です。

ただ、もしかしたらその常識がネット広告が当たり前の世代のお客様には通じていないのではないか…

考えていても答えは出ません。考えるより行動。

ネットで物件探しをしてみたりしましたが、物件ページに記載してある不動産会社に問い合わせをして見学することは一目瞭然でした。それはそうです。不動産会社はそのために掲載しているのですから。

とはいえ、せっかくいただいた質問でもあり、初めてマイホームを探す人で同じ悩みを抱えている人もいるかもしれませんので、本稿ではマイホーム購入はどんな人が関わるのか詳しく解説します。

不動産ポータルサイトの役割

マイホーム購入に直接関係してくることはありませんが、物件探しをする際には必ず押さえておきたい登場人物なので一番最初に説明します。

私たちが普段目にする物件広告は、ほとんどが不動産ポータルサイトの情報です。
不動産ポータルサイトの代表はSUUMOLIFULL HOME'Sです。

これらのポータルサイトは不動産会社に営業をして、不動産広告を掲載してもらうことで収益を得ています。

つまり、不動産ポータルサイトの運営会社は広告をしているだけ、不動産を直接扱っているわけではありません。

不動産を扱っているのは、そこに販売物件を掲載している不動産会社です。

不動産会社の関わり方の違い(媒介or売主)

不動産ポータルサイトに販売物件を掲載している不動産会社がその不動産を取り扱っていることはお分かりいただけたと思います。

お目当ての物件が見つかり見学したいと思ったなら、その物件を掲載している不動産会社に問い合わせをしましょう。

あとは不動産会社にお任せすればトントン拍子で進むはずです。

…いえ、そんなことはありません。

買いたいと思っても、スパッと買えないのが中古住宅です。
(不思議ですよね。)

なぜそのようなことになるのか、ヒントになるのが不動産会社の立ち位置です。

不動産ポータルサイトには2つの異なる立場の不動産会社が販売物件を掲載しているのです。

そのうちの一つが、売主として販売物件を掲載している不動産会社です。

自社の商品(中古住宅)を不動産ポータルサイトという広告を利用して販売しています。

不動産に限らず、自社の商品を販売するために広告に掲載することは当たり前のことなので違和感はないと思います。

一方で、もう一つの立場が他人が所有する不動産を販売するために不動産ポータルサイトに掲載している不動産会社です。これを媒介物件といいます。

売主として販売している物件の対応をしてくる担当者は、自社の販売物件なので物件にはとても詳しいです。価格の相談に応じてくれるかどうかも、社内で相談(確認)をすればいいのでスパッと返事をくれます。

一方、媒介物件を販売している担当者は、他人の家を売っているため細かな点は把握していないことも多いです。価格の相談をしても、売主は別にいるため売主の気持ちを確認したり、説得しなければなりません。

媒介物件の場合は対応してくれる不動産会社に決定権がないため、スパッと買えないのです。

これ以上は触れませんが、媒介物件売主物件の2つの異なる販売物件が掲載されているということだけ抑えてください。

どちらの物件であっても、広告に掲載されている不動産会社に問い合わせをすれば見学をすることができます。

住宅ローンを貸してくれる金融機関

多くの人はマイホーム購入の際に住宅ローンを組んでお金を借りることを検討します。

金融機関によって金利や手数料などの条件が異なりますので、自分にとって一番条件の良い金融機関で借りたいと思いますよね。

どこの金融機関を利用するかは借りる人(マイホームを購入する人)の自由です。

販売物件を掲載している不動産会社の中には提携金融機関の住宅ローンを紹介してくれることもあります。

そこを使うかも自由です。

どこの金融機関を利用するかは自由とは言え、いきなりどこかの金融機関に住宅ローンの相談をする人はそんなに多くないと思われます。

なぜなら、マイホーム購入を検討している人が住宅ローンについて知りたい(聞きたい)ことは、住宅ローンという商品のことではないからだと思います。

自分にとって一番条件のよい住宅ローンを出してくれる(くれそうな)金融機関が知りたいのではないでしょうか?

つまり、金融機関を比較してくれることを望んでいるはずです。

そういう事情を不動産会社はよく理解しています。

複数の金融機関の貸し出し金利を比較したり、団体信用生命保険(通称:団信)の保障内容の違いを説明したり、あなたにとってここが一番良さそうですよ、とアドバイスしてくれることも少なくありません。

それもあって、住宅ローンの相談は不動産会社にすればいいという風潮?もあるように感じます。

冒頭の質問に戻ると、「見学したときに問い合わせた不動産会社に住宅ローンの相談もできるなら、しちゃったらいいよ」という回答になりそうです。

最後にちょっと登場する司法書士の大事な役目

司法書士は不動産取引には必ず登場します。

でも、取引を経験したことがある人に聞いても、「そんな人、いたかな?」というぐらい存在感がありません。

それもそのはず、私たちの前に現れるのはほんの一瞬で、裏方に徹しているからなのです。

司法書士の役目は登記申請です。土地、建物の所有者を新しい買主の名義に変更することや、住宅ローンを借りるための担保設定を行います。

登記申請を行うタイミングは売買代金と物件の引渡しが行われる時(決済)です。

まさに私たちの前に初めて現れる場で、書類を確認して登記申請が間違いなく行えることを確認して、決済にGOサインを出してくれるのです。

決済の場に現れる前に金融機関や売主と打ち合わせを済ませているからこそ、決済当日の手続きがスムーズに進むわけです。

登記申請自体が専門的であることや、司法書士の登記申請に間違いがあると取り返しがつかないことになることから、どの司法書士に依頼するのか買主が指名することができません。

多くの場合、金融機関が指名する司法書士に依頼します。もし、金融機関の指名がなければ、不動産会社が指名する司法書士になります。ミスが許されない仕事であるため、関係者の方々が信頼を寄せる司法書士が優先されるわけです。

ちなみに、買主が指名できないのですが、お金を払うのは買主です。

まるで金融機関や不動産会社の関係者のような立ち位置のため、買主が司法書士に依頼した、という認識を持たない方が多いのだと思われます。

物件の見学や住宅ローンについての相談はどこに行けばいいのでしょうか?

本稿のまとめです。

物件の見学がしたい
⇒不動産ポータルサイトに掲載している掲載元(不動産会社) 

そして、探し始めて何件か見学の経験を積むと、こんな疑問が生まれるようです。

「掲載元の不動産会社以外の不動産会社には見学の依頼ができないのかな?」

そんな疑問には別のコラムで解説しております。
住宅ローンの相談がしたい
⇒不動産ポータルサイトに掲載している掲載元(不動産会社)

または、特定の金融機関に相談することもできます。

不動産会社と金融機関では役割が異なりますので、マイホームを探し始めの方は不動産会社に住宅ローンの相談も受けてくれるのか確認することが良いでしょう。

ファイナンシャルプランナーへの相談をご検討ください!

※ここから先は自己アピール・セールスの場になります!!

不動産の購入では、多くの方が頼りにしているのが不動産会社です。
物件の見学から住宅ローンの相談など、どの場面でも入口に不動産会社が登場するためそのアドバイスをもとにマイホーム購入計画を進めていく方が多くいらっしゃいます。

ただ、ちょっと待って(考えて)ください。

不動産会社の目的は不動産を売ることです。
売ることによって収益を得ており、売れなければ0円です。

アドバイスがたまたま有益である可能性もありますが、不動産の販売が目的であることを忘れてはいけません。

一方、ファイナンシャルプランナーの目的は相談をいただいたお客様のライフプランの実現です。

具体的には、マイホーム購入の資金計画に無理がないかどうかアドバイスすることです。
不動産を買うかどうかによって収益を得ていませんので、買うこと・見送ることについて中立的な立場でアドバイスができます。

不動産という大きな買い物をする上で、ファイナンシャルプランナーへ相談料をお支払いいただいても十分なメリットがあります。

初めてマイホーム購入を検討している方はぜひご相談ください。