iDeCo

資産形成、というキーワードが盛んに取り上げられている中、NISA・iDeCoを活用することで効率的に資産が増やせるという記事をみかけます。

NISAとiDeCoは全く異なる制度ですが、資産形成にとって有利な制度という意味ではぜひ活用したい仕組みであることは間違いないです。

とはいえ、両方の制度を活用するほどのお金はないため、どちらを優先して利用すればいいのか、という質問を多くいただきます。

NISAは中長期の資産形成、iDeCoは老後資金のための貯蓄制度のため、どちらを優先すべきかは人それぞれです。

それでも、投資に慣れていない人、絶対に損したくない人にはiDeCoをおすすめしております。

その理由は、節税につながるからです。

サラリーマンであれば、年末調整で今年払った税金が戻ってくるため節税効果を実感しやすいです。

そこで、iDeCoがなぜ節税につながるのか解説します。

年末調整では何を調整しているの?

年末調整とは、源泉徴収した税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続です。

毎月給料から天引きされる所得税は、年始にその人の家族構成などにより算出した数字に基づいて徴収しています。

本来、所得税とは年末の状況に応じて税額が確定するものなので、年末調整手続きを行うことで、その人の年末の状況で正しい税額を算出します。

年始と年末で状況に変更がない人は年末調整をしても税額に変更はありません(還付なし)。

一方、年始では独身だった人が、年末時点で結婚して配偶者を扶養している場合には年末調整で税額が変更されるため、減額分の還付があります。

これらの各人の状況で税額を調整している項目が所得控除に関する内容です。

所得控除とは?

所得控除とは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情に配慮して、税負担を軽減させています。

所得控除は全部で15項目あります。

例えば基礎控除(48万円)というものがあり、誰でも所得税の計算上、所得から48万を差し引くことができます。

そのほか、扶養控除として年老いた親を扶養している場合には所得から58万を差し引くことができます。

生命保険に加入していれば、最大で12万の生命保険料控除も受けられます。

そして、所得控除の一つとして小規模企業共済等掛金控除があり、iDeCoの掛け金は全額控除の対象となります。

その結果、所得税が安くなるためiDeCoは節税につながるといわれています。

所得控除の効果については下記コラムに詳しく書いておりますのでぜひご覧ください。

所得控除と税額控除の違い

所得控除とは別に、税額控除というものがあります。

代表的なのが住宅ローン控除です。

「年末のローン残高×0.7%」の分だけ税金が安くなります。

税額控除とは、上記で算出された金額分がまるまる税額に影響します。

例えば、年末残高2,000万×0.7%=14万として、税負担が14万軽減されるということです。

一方、所得控除では税金計算の基になる課税所得が安くなります。

iDeCoの年間掛け金が276,000円、所得税・住民税の税率が20%だとしたら、55,200円の税負担が軽減されます。

このように、

・所得控除では所得控除×税率=軽減される税

・税額控除はまるまる軽減される税

という違いがあります。

このように考えると住宅ローン控除というのは大きな節税効果があります。

iDeCoは節税分だけみれば確実にプラスになる

所得控除も税額控除も支払っている税金以上に還付されることはありません。

そのため、非課税の世帯が住宅ローン控除を適用しても、そもそも所得税を払っていないのであれば戻ってくる税はない、ということです。

一般的なサラリーマンであれば所得税・住民税を支払っているため、iDeCoで掛け金を払うことにより確実に節税効果が生まれます。

iDeCoではリスクのある商品で積立金を運用することができることもあり、運用次第で積立金が減る可能性はあります。

ただ、リスクのない元本確保型の商品が必ず準備されていますので、積立金を減らしたくない人は元本確保型商品を選ぶことができます。

このように、必ず節税効果が得られて、元本確保型商品があるiDeCoは投資を考えていない人でもぜひ検討してほしい制度です。