不動産を売るときでも買うときでも、「その価格は妥当なのか?」について気になるものです。
不動産は全く同じものはないため、似たような物件と比較して価格を推測することになります。
土地の売買であれば、隣近所で過去に売れた事例を参考に㎡単価を算出するのが一般的です。
中古マンションであれば、近隣で築年数・グレードが近いマンションの成約事例が参考になるでしょう。
マンションは土地と異なり、棟内で同じような物件(広さ・グレード)があるため、全く同じとはいえないまでも、かなり条件の近い物件が複数存在します。
そのため、マンションの価格を比較するときはまず真っ先に棟内の成約事例を確認することになります。
3階の70㎡・南向きの部屋が5,000万で売れた事例があるなら、5階70㎡・南向きの部屋は5,000万以上で売れる可能性が高いといえます。
マンションでは階数が上がるほど評価が高くなる傾向があるため、3階よりも5階の方が高い値段を付けます。
では、3階の70㎡・南向きと、3階の60㎡・南向きを比較する場合はどうでしょう?
面積が異なりますので、㎡単価で比較します。
70㎡で5,000万なら、㎡あたり71.4万です。
それを参考にすると、㎡@71.4万×60㎡=4,285万、となります。
中古マンションでは似たような事例が探しやすいため、価格の比較の簡単にできます。
とはいえ、比較対象を間違えてしまうと価格が大きくブレます。
例えば、先ほどの続きで、3階・35㎡・南向きの部屋の価格の妥当性を確認する場合はどうでしょう。
同じ3階・70㎡・南向きが5,000万で成約した事例と比較して、面積が半分だから価格も半分の2,500万である、というのは正しいでしょうか?
一般的には、面積が大きくなればなるほど㎡単価は下がります。売買価格の総額が大きくなることで買手が少なくなるためです。
エリアによって手が届きやすい価格帯というものがありますので、それを意識しなければ正しい比較にはなりません。
では、同じマンション内で55㎡と45㎡の部屋を比較するのはどうでしょう?
わずかな面積差なので比較対象としては問題なさそうです。
しかし、この面積は住宅ローン控除が使えるかどうかの境目になっています。
当然、住宅ローン控除が使える広さの方が人気がある(需要が大きい)ため、価格も高くなります。
特に注意したいのが令和4年から住宅ローン控除の使える物件の幅が広がったことです。
以前は新耐震基準の中古マンションに限定されていましたが、令和4年以降に入居した物件については、昭和57年1月建築以降であれば対象となります。
(詳しくは下記コラムをご参照ください)
ということは、比較対象の事例は住宅ローン控除が使えない時の成約価格であって現在の評価はもう少し高い、という物件があるということです。
このあたりの法改正も踏まえたうえで比較検討をしないと正しい判断ができませんので、第三者に意見を求めることも検討してみてはいかがでしょうか。