売主と値引き交渉が成功しやすいタイミングとは~条件交渉の注意点~
中古住宅では値引き交渉することができます。

そもそも、販売価格というのは売主が自由に決めているので、価格を下げることも売主が自由に行えます。

売主の事情にもよりますが、長期間販売を行っていても売れなければ値段を下げます

ちょっと予算オーバーだけど、値引きしてもらえるならぜひ購入したい、という物件があったとしたら、みなさんはどうしますか?

値引き交渉しても応じてくれるか分からないし、売れなければ値段が下がるのだからそれまで待つ人。

言うだけならタダだから、電話して値引きしてもらえるか聞いてみる人。

売主は売却にあたって値引き交渉があることは覚悟していることが多いです。

中古住宅の取引とはそういうものだ、と仲介会社から聞かされていることもあり、値引き交渉があることを前提にした売り出し価格を設定していることも少なくありません。

だからといって、値引き交渉に応じるかどうかは売主のその時の気持ちによるところが大きいといえます。

例えば、週末に3組の案内があったとして、他の2組の検討結果が分からないのに、値引き交渉に応じるとは思えません。売主としては、他の2組の結果を聞いてから判断したいと思うものです。

では、値引き交渉が成功しやすいタイミングはあるのでしょうか?

成功しやすい中古マンション購入のタイミングとその見極め方

失敗した女性
値引き交渉といっても、あなたが売主に直接交渉ができるわけではありません。
仲介会社を通じて値引きの打診をすることになります。

まだあなたが何者であるかもわからないのに、いきなり問い合わせの段階で値引きの可能性を聞かれても、まともな仲介会社であれば相手にしません

仲介会社にとって問い合わせをしてきたあなたはお客様ではありません

買主候補=お客様といえるためには、住宅ローンを組めるのか、購入する権限があるのか、をしっかり示さなければなりません。

特に気を付けないといけないのは次のような場合です。

・自営業、会社経営者など住宅ローンが組めるか疑わしい人
・子供が近くに住みたいと言っている、という親
・結婚しているのに、自分だけで住む家を探しているという妻

これらに共通するのは、買いたくても買えない可能性がある(住宅ローンが組めない)、買うかどうか決定する人は別にいる(購入する権限がない)ということです。

値引きの相談の前に、あなた自身が購入する前提条件を整える必要があると言えます。

あなたが真剣に検討していることが仲介会社に伝わらない限り、値引きの打診はしてもらえません。

内覧時・内覧直後の値引き交渉は絶対してはいけない

失敗
まれに、内覧時に物件の悪い点を指摘する人がいます。

また、近くで販売中の物件を例に出して、あっちのほうがここが優れている、などと指摘する人もいます。

狙いとしては、「●●だから、あなたの今の価格は高い。もっと安いのが妥当なのでは」という前フリのつもりで言っているようです。

客観的にみて、確かに割高なのでもっと安くないと売れない物件だったとしても、売主の前で悪い部分を指摘するのは交渉上手とはいえません

中古住宅の売主の多くは一般の個人です。

ビジネスで売っているのであれば採算を考えて、利益が出れば売るという判断はあります。

しかし、個人の売主の場合、何年、何十年も住み続けてきた思い入れのある家を売っているわけです。

思い入れのある家を悪く言われては、気分が悪いと思いませんか?

「そんな奴には満額でも売りたくない」という考えの売主もいます。

値引き交渉は理屈ではなく気持ちです。

値引きの了解がもらえたら契約する、というタイミングがベスト

内覧が終わり、数日じっくり考えて、いざ申込という段階で値引きの相談をするのがベストタイミングということでしょうか?

いえ、まだベストタイミングではありません。

住宅ローンの事前審査承認が得られていない段階では、まだ契約ができるかどうか分かりません。

ベストタイミングとは、住宅ローンの事前審査承認が得られた直後です。

仲介会社からみれば、あなたが決断すれば契約になるため、値引き交渉にも力が入ります

それに、ここまで手続きを進めてきて契約にならなければタダ働きになってしまうことから、なんとか話をまとめようと仲介会社も真剣です。

売主としても、値引きをせずにもうしばらく他の買主が出てくるまで待つのか、それとも値引きをして売るのか、2者択一の判断ができます。

これが住宅ローンの事前審査前だと、値引きを決断しても確実に買ってくれるかどうかわからないため、仲介会社としては決断を迫れません。

売主、仲介会社の立場で考えれば、値引き判断をしやすいタイミングは住宅ローンの事前審査承認後、契約直前ということです。

まとめ

・問い合わせ段階での値引き交渉は論外
・内覧時、内覧直後の値引き交渉も論外
・契約できる条件が整った段階で値引き交渉をするのがベストタイミング
・値引きしてもらえるなら明日にでも契約します、という真剣な気持ちを伝える
・売主は気分次第で交渉に応じるもの(売主の気分を害してはダメ)


最終的に価格(値引きに応じるかどうか)を決めるのは売主です。

値引き幅が妥当なのか、値引き交渉を断って別の買主が現れるのかどうかなど、仲介会社にアドバイスを求めたうえで決断していることが一般的です。

そのため、値引き交渉では仲介会社の営業担当がキーパーソンになります。
自分はお客様だぞ、という気持ちで仲介会社に接していてはいけません。

値引き幅、交渉の可否などの情報を引き出すためにも、ビジネスパートナーとして接するのが良いでしょう。

値引き交渉を仕掛けるタイミングも大切ですが、仲介会社を味方につけることで値引き交渉の成功率UPにつながることを覚えておいてください。