不動産の売買契約書には、売買価格に応じて印紙税が課税されます。印紙税の納税方法は、売買契約書に収入印紙を貼って消印をすることです。
売買契約の際の持ち物として、不動産会社から印紙の現物又は印紙代としてのお金を持ってくるよう案内があります。
一般的な中古住宅の売買では売主・買主がそれぞれ契約書を保管するため、契約書を2通作成します。
自分が保管する契約書に自分で印紙を貼ることになりますが、消印はどうすればいいのでしょうか。
私自身、若いころは先輩の動作を見て、勝手な理解をしていました。恥ずかしながら、今思うと正しい知識を持たずにお客様にご案内してしまいました。
印紙の消印の方法って、法律で決まっているんです。
誰の印鑑で消印するのが正しいの?
課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。
印紙税法施行令 第5条
つまり、売主・買主が自分自身で消印を行うことになります。印鑑でなくても署名でもよい、とされています。
また、法人であれば、その従業員の個人印でも問題ありません。
なお、消印の目的は印紙の使いまわしを防止することです。そのため、しっかりと印紙部分に印影が残るように消印をしてください。
署名でも良い、とされていますが、鉛筆ではダメです。印紙の使いまわしを防止することができないからです。
不動産売買の現場でよくある誤解
- 売主、買主双方の印鑑で消印をしなければならない
- 売主が連名、または買主が連名であれば、全員の印鑑で消印をしなければならない
- 契約書に押した印鑑と同一の印鑑で消印をしなければならない
- 印紙を再利用できないようにすればいいから、ボールペンで「印」と書けばいい
これらは全て間違いということです。
ただ、契約書の見栄えの問題からなのか、売主・買主双方の印鑑で、契約書に使用した実印で消印をすることが多いようです。
当事者が同席しているなら、契約書に捺印した流れで消印をすることは自然なことです。
しかし、一方が欠席をして後日署名・捺印をするような場合でも、両当事者の消印にこだわる不動産会社がありました。正しい知識がないからなのか、見栄えに相当こだわってるのか…
最後に怖い話として、印紙は水に濡らせば貼ることができるのですが、水で濡らすのが面倒なのか、ペロッとして貼ってしまう営業マンがいるとかいないとか…
新型コロナが流行ってからは聞かれませんが、もし本当ならとても迷惑な話ですね。