不動産取得税は、中古住宅を購入したあとにかかる税金です。購入の決済をした後、3か月後くらいに納付書が届きますので、事前に聞かされていないとビックリする方もいらっしゃいます。
不動産購入の際に直接かかる費用ではないため、不動産会社から案内がなかったという声も聞いたことがあります。少なくない税額になりますので、あらかじめ予定していないとちょっとした痛い出費になります。
そこで、不動産取得税についてのポイントを解説します。
不動産取得税は、誰が、どんな時に払う義務があるの?
取得した人が支払います。売買であれば、購入した買主が支払うことになります。
また、取得税、のため売買以外でも取得したのであれば支払いが必要です。例えば、親から子供に贈与した場合、子供が無償で取得したことになりますので、不動産取得税が課されます。
一方、相続により子供が取得した場合は課税されません。なお、取得税は1回限りの税金です。
不動産取得税の税率はどのくらいなの?
不動産取得税の税率は3%です(本来は建物4%、土地3%です)。評価額が5,000万であれば、税額は150万になります。
そういえば、中古住宅を購入するときに不動産会社に支払う仲介手数料も約3%だったよな、と思い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
仲介手数料を計算するときの基準となる金額は売買価格です。一方、不動産取得税を計算するときの基準となる金額は固定資産税評価額です。
固定資産税評価額とは、毎年不動産を所有している人に課税される固定資産税の基となる評価額で、実勢価格(売買価格)とは異なります。当事者で自由に決めることができるものではなく、役所が決めるものです。
首都圏の中古住宅市場で考えれば、実勢価格(売買価格)>固定資産税評価額、といえます。
そのため、売買価格の3%の税額がかかることはありません。
固定資産税評価額の調べ方や評価証明書に見方について
固定資産税評価額は市役所や都税事務所で令和〇年度評価証明書という書面で確認ができます。書面の呼び名は都道県によって若干異なります。
しかし、誰でも評価証明書を取得できるわけではありません。不動産の所有者や借地人など利害関係者に限定されています。
そのため、不動産会社は所有者から委任を受けて評価証明書を販売開始時に準備しておくことが一般的です。
中古住宅を購入する際、不動産会社に依頼をすれば評価証明書を見せてもらえます。
書式は都道府県によって異なりますが、土地、建物それぞれ分かれて記載されており評価額が必ず記載されています。
なお、マンションの場合は土地全体の評価額が記載されているため、計算の際には持ち分を考慮することに注意しましょう。
もし書面の見方が分からなくて自治体に確認する場合、発行している自治体に確認してください。神奈川県の書面について、東京都で確認しても答えてもらえないです。(自治体毎に異なります。)
不動産取得税が安くなると聞いたけど、減額の条件とは何?
新築マンションを買った方で住み替えを検討しているお客様に不動産取得税の話をしても、自分がマンションを買った時にそんな税金を払った覚えがないという方が多くいらっしゃいます。
それは、不動産取得税の減額によって税額が0円になっているためです。大きな減額があるため、税額が0円になることは少なくありません。
土地、建物それぞれに要件がありますが、概略として
- 自分の居住用として取得したこと(投資用はダメ)
- 建物の築年数が昭和57年1月以降であること(又は新耐震基準に合致していること)
- 建物の床面積が50㎡以上あること(面積は評価証明書記載の面積で確認)
です。要件に該当するかどうか簡単に確認できる自治体のホームページがありますので興味ある方はアクセスしてみてください。
建物の減額幅は、築年数が新しいほど大きな金額になります。新築住宅は評価額から1,200万減額となるため、固定資産税評価額が1,500万であれば、(1,500万-1,200万)×3%=9万、となります。
土地の減額幅は一定のため、上記要件に該当するかどうかで決まります。私の経験では、要件に該当する場合は土地税額は0円になることが多いです。
それもあって、減額の対象になるかどうか非常に大きいです。
実際の税額を計算するにはどうすればいい?便利な計算ツール
税額を計算するためには
- 固定資産税評価額を知る(評価証明書が必要)
- 税率、計算式を知る
- 減額の要件を知る
ことが必要です。しかし、税率や計算式、減額の要件などは自治体が便利な計算ツールを準備してくれていますので、そちらを利用すれば簡単に税額を知ることができます。
固定資産税評価額だけはインターネットなどを使っても分かりませんので、不動産会社に依頼して準備してもらいましょう。
申請しないと減額されないことも…こんな時は要注意!
冒頭で説明しましたが、不動産取得税は何もしなくても納付書が届きます。自治体にもよりますが、計算ツールで計算するのと同じように、減額要件に当てはまる場合には減額後の税額で納付書が届きます。
だから、納税額が0円の場合は納付書も通知もこないので、住宅を購入した人の中で、不動産取得税って何?という人も出てくるわけです。
では、どんな時でも申請をしなくてもいいのかというと、そんなことはありません。
減額要件の中で、建物の築年数が昭和57年1月以降、または新耐震基準に適合している、というものがあります。
この、新耐震基準に適合している場合だけは、自分で申請をしないと減額となりません。
申請期限についても決まりがあり、例えば神奈川県では取得後10日以内、東京都では30日以内となっています。提出書類の中には、建築士に依頼して作成してもらわなければならない書面もありますので、事前に確認して準備をしておきましょう。
中古住宅の諸費用が売買価格の●%、と曖昧な理由
中古住宅を購入する際、様々な諸費用がかかります。
その中で、売買価格が基準となって決まるものとして
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 売買契約書に貼付する印紙代
があります。
一方、固定資産税評価額が基準になって決まるものは、
- 不動産取得税
- 登記費用(登録免許税)
があります。
固定資産税評価額は評価証明書を見ないと分かりません。2つの中古住宅があって、それぞれ販売価格5,000万円でも、固定資産税評価額も同じとは限りません。
そのため、販売価格を基に諸費用を算出することができず、中古住宅の諸費用はザックリ6-8%くらい、という回答になるということです。
なお、不動産取得税と同じく、登記費用(登録免許税)についても減額要件に当てはまると税額が大きく下がりますので、要件に合致するかどうかがポイントになります。
減額要件に合致するどうかは評価証明書を見なくても分かりますので、検討段階でもその点だけ確認をしておけば諸費用の見込みが大きくずれることはないと思います。