もちろん、そんなことはありません。
ただ、売主・買主間で契約をすることが決まってから契約書類を作成することが多いこともあり、書類の完成が当日ギリギリになってしまうという事情があります。
大手仲介会社では営業担当者と書類作成部門が別ということもあり、書類作成部門の込み具合によっても書類の完成がいつになるか分からないという社内事情もあるようです。
それであれば、1週間後とかそんなに急いで契約日をセットしないで、余裕をもった日程にすればいいのではと思いますよね?
また、前もって契約書類を作成しておく、とか。
契約を急かせるのは当事者の気持ちが変わらないうちにサッと済ませてしまいたい、という仲介会社の思惑があります。
契約が決まってからしか書類作成をしないことについては、仲介会社は成約報酬制のため、決まるかどうかも分からない案件に手間をかけたくないという気持ちがあるからかもしれません。
これらを踏まえて、事前に契約書・重要事項説明書を確認することはできないものなのでしょうか?
仲介会社のメンツをつぶさず、上手にこちらの要望を伝えるようにすればいいのです。
契約書はひな形書式を使用している
多くの仲介会社は、所属している業界団体のひな形書式を利用しています。
そのため、基本的な契約条項はひな形書式を送ってもらえればすぐに確認できます。
契約の都度変える箇所というのは、売買代金であったり、物件の表示、引渡し日、手付金の金額等です。
また、売主様が住み替えのため、住み替え先が購入できない場合には売却の売買契約は違約金なしで解除できる、というような、個別事情を盛り込んだ特約を入れる場合もあります。
初めて中古マンションを購入しよう、と思っている方が不安なのは、細かな特約内容ではなく、どんな契約書にサインするのか、ということではないでしょうか。
それであれば、「個別の条件は空欄で構わないので、契約書のひな形書式を事前にいただけないでしょうか?」と伝えてみてください。
初めての契約で不安なこと、契約書を事前に確認したいと伝えることは決しておかしなことではありません。
ひな形書式を送ることを嫌がる仲介会社はいないはずです。
一方で、仲介会社としては事前に契約書を開示することで、細かな要求があるのではないかと警戒します。
そんな仲介会社の気持ちを理解しつつ、初めて契約で不安なことを前面に押し出して相談することが良いかと思います。
重要事項説明書で説明すべき事項は決まっているが、内容は物件ごとに千差万別
契約書に比べて、物件ごとにその内容が異なる重要事項説明書の方が作成に時間がかかります。
特にタワマン・大規模マンションだと管理規約を読み込むだけでも大変なので、仲介会社は社内で過去に作成した同じマンション内の重要事項説明書を流用することもあります。
そのため、重要事項説明書を事前に欲しいと伝えても、もらえないことも少なくないでしょう。
だからといって、重要事項説明書を契約前日、または契約当日に確認して契約書にサインをするのは不安なものです。
重要事項説明書を作成するのは時間がかかる。
大事な内容なので重要事項説明書はできるだけ早く確認したい。
という仲介会社と買主のジレンマを解決する折衷案として、「重要事項説明書に関する付属資料だけでも先に確認させていただけないでしょうか?」という依頼方法があります。
そもそも、重要事項説明書とは仲介会社が物件について、「役所・管理会社・売主」にヒアリングや調査を行い、その内容を記載するものです。
役所に行って調べたこととは、証明書を取得しています。例えばマンションの建築確認日を調べた根拠資料として、台帳記載事項証明書を取得します。
物件周辺が商業エリア(商業地域)なのか閑静な住宅地(第1種低層住居専用地域)なのか、いわゆる用途地域はインターネットで公開されているので、そこから誰でも確認できます。
マンションの管理面については管理規約・定期総会議事録があれば確認できます。
これらの資料を仲介会社は販売開始時には手に入れていますので、お願いすればすぐにもらえるはずです。
重要事項説明書による説明を待つまでもなく、自分でこれらの資料を読み込んで把握することで、購入する物件についてより理解が深まります。
本来、これらの資料は契約前というより、検討段階で読み込んでおくべき資料です。
そのため、購入申込書を提出直後(もしくは提出する直前)に仲介会社の担当者に依頼しておくと良いでしょう。
間違ってもやってはいけないのは、初回の問い合わせ段階でこれらの細かい資料を要求することです。面倒な客、という印象を与えてしまいます。
そのような印象を持たれてしまうと、競合が現れたときに優先してもらえないというハンデを背負うことになります。
どの資料をいつ要求するのか、タイミングがとても大事です。
事前確認を忘れがちな設備表と物件状況確認書(告知書)はトラブルの原因になりやすい
中古マンションを購入するとき最も気になるのは、近隣トラブル、事故・事件などではないでしょうか。
事件事故が無いということを契約書でもきちんと示されているのかどうかを確認したいのであれば、物件状況確認書(告知書)をもらうようにしましょう。
売主は販売開始時に仲介会社に対して、室内で事件・事故があったかどうか、リフォームをしているか、などを自己申告して書面を提出しています。
その書面が物件状況確認書(告知書)であり、そのまま売買契約書の一部となります。
また、売主は売却する住宅にどのような住宅設備が付いているのか、その設備は使えるのかどうかを「設備表」に記載します。
例えば、食洗機があるとか、エアコンはあるけど撤去するとか、お風呂で自動湯はりができるか、など。
壊れている設備があればその旨を記載します。
購入を検討する人にとっては、入居するにあたって使えない設備があるかどうかは気になりますよね。
物件状況確認書(告知書)と設備表は販売開始時に作成されています。
契約前とは言わず、検討段階でも仲介会社からもらうようにするといいでしょう。
まとめ
検討段階にもらいたい書類
・設備表、物件状況確認書(告知書)
契約前にもらいたい書類
・契約書のひな形
・重要事項説明書の付属資料
一般的に中古マンションの売買は急がされて、良く分からないまま契約手続きを進めらてしまうことが多いです。
だからこそ、検討段階から買主自身で仲介会社に相談し、資料を集めて、買うべきかどうか判断をしなければなりません。
とはいえ、例えこれらの資料が手に入ったからと言って、誰でも資料を見れば問題点が把握できるわけではありません。
デメリットが大きな赤文字で書いてあるわけでもなく、どちらかというと専門用語が羅列されていて解説が無いと分かりづらいものです。
そのため、資料をもらって一安心、ではなく、記載されている内容から買主にとってどのようなデメリットが考えられるのか読み取ることが必要です。
私には、数多くのマンションを見てきた知見があります。
プロの力に頼ってください。ご相談、お待ちしております。中古マンションがとにかく得意なので、なんでも相談にのります。大きな買い物だから失敗したくないという気持ちと、早く決断しなければ他の人にもっていかれてしまうという焦る気持ちがあることを理解しています。 もっと手早く調べて決断できたら、あの物件買えたのにな…という後悔をなくしたい。 だから、マイホームFP相談サービスを始めました。