自分の親の相続を経験した方は、こんなに面倒なことは他人にされられない。
おひとりさまの方であれば、他人に迷惑はかけたくないという気持ちを持っている方が多くいらっしゃいます。
将来の相続を見据えて、終活を始める方も増えていると聞きます。
とはいえ、住居に関していえばどこかに住み続けなければなりません。
高齢者施設であれば、死後の手続き(住居の整理)をしてもらえるため面倒なことにはなりそうにないです。
でも、住み慣れた地域で生活したいと考えるなら、早いうちから終の棲家を探し始めなければなりません。
高齢者は賃貸が借りづらい、と言われている通り、おひとりさまの高齢者を受け入れてくれる大家はほとんどありません。
なぜなら、借主が亡くなっても賃貸借契約を勝手に解約することができないからです。
大家(貸主)は、借主が亡くなった後、相続人と賃貸借契約の解約手続きを済ませないことには次の人に貸せません。
子などの相続人がいないことは借りるときにとても不利になるということです。
これは新規に借りるときの話です。
一度借りてしまえば、よほどの理由(家賃滞納など)がなければ更新し続けられます。
50-60歳くらいの早い時期に終の棲家としての賃貸住宅を見つけて契約することができれば、そのまま一生涯生活することも可能です。
自分の死後の手続きについても、遺言を残すことで迷惑をかけずに済ませることもできます。
賃貸だから自分が亡くなっても迷惑はかからないだろう、というのは間違いです。
先ほど説明した通り、大家さんは大変迷惑しますので、おひとりさまの場合は遺言で死後の手続きまで含めてキレイにしておくことが必要です。
一方、定年退職する65-70歳で賃貸住宅を探し始めるのは難しいかもしれません。
大家さんとしては、近い将来おひとりさま相続が発生することを考えると、できれば貸したくないと思います。
賃貸がダメなら持ち家が選択肢になります。
おひとりさま相続では、自分の死後、持ち家をどのように処分して、そのお金をどうするか決めるのがいいでしょう。
遺言で持ち家を寄付することもできます。不動産そのものは受け取ってくれませんので、持ち家を売却したお金を寄付することになります。
持ち家といっても誰かに残すわけではないし、老後の生活費を考えると大きなお金は出せない、ということで賃貸しか考えていない人もいます。
持ち家といっても、割安な物件があります。
築年数が古い、場所が不便、ということで割安なのではなく、期間限定だから割安という物件です。
それが、定期借地権の物件です。
定期借地権とは、土地の権利が新築時から50-70年の期間限定で借りられる借地権です。
都内のマンションで多くあります。
借地権(期間限定)ということで、所有権よりも割安な価格で買うことができます。
相続する人がいないなら、自分が生きている期間限定でも問題ありません。
割安な価格で好立地のマンションに住めると思えば、賃貸よりもコストパフォーマンスが良いと言えそうです。
持ち家といっても色々な選択肢がありますので、自分のライフスタイルに合った住まいを見つけてみてください。
繰り返しになりますが、賃貸でも持ち家でもおひとりさま相続で迷惑をかけたくないという方は遺言を残すことが必要ですので、賃貸が有利ということはありません。