バルコニー

おうち時間が増えたことに伴い、マンションのバルコニーを有効活用しようと考えている人が増えています。

椅子やテーブルを置いて食事を楽しんだり、リモートワークの合間に休憩したり、気軽に外の空気に触れられるスペースというのは貴重です。

それなら、もっと居心地の良い空間にしようと日よけを設置したり、ウッドデッキを置いてみようと考えたりもします。

しかし、多くのマンションではこれらバルコニーにモノを置いたり、モノを設置することは禁止されています。

自分の部屋(の一部)なのになぜダメなの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本稿ではバルコニーのなぜ?について解説します。

共用部分と専有部分の違い

マンションは大きく分けて2つのスペースがあります。

専有部分とは、各区分所有が自由に使用・利用できるスペースのことです。

●●号室、などお部屋単位で区分所有権が設定されていますので、その部屋の所有者は室内を自由に使用できます。

2LDKの間取りが気に入らなければ、3LDKに作り替えることも自由です。

自由に利用できる専有部分の維持修繕・管理は各区分所有者が行います。

一方、専有部分以外のスペースは共用部分となります。

共用部分とはエレベーターや階段、エントランスなどです。

各自が自由にできるわけではなく、その用法に従って誰でも利用できるスペースです。

誰でも利用するため、その維持修繕・管理は管理組合で行います。

このように、マンションというのは共用部分と専有部分の2つから構成されており、自分の好きに改装できるのは専有部分だけです。

バルコニーが専有部分であれば改装できることになりますが、残念ながらバルコニーは共用部分です。

共用部分の専用使用権とは

共用部分というのは誰でも利用するスペースだといいました。

バルコニーも共用部分だというなら、だれでも利用できるということでしょうか?

それだと、私の家のバルコニーに他人が入ってくることになり安心して生活できません。

そこで、共用部分の専用使用権という権利が出てきます。

専用使用権とは、共用部分の一部を特定の人だけが利用することを認める権利です。

バルコニーを専用使用権として認めているため、●●号室に付いている箇所は●●号室の人だけが使えることになっています。

共用部分でありながら区分所有者が独占的に利用できるのが専用使用権です。

バルコニーの維持管理は誰が行うの?

言い換えると、専用使用権のスペースは区分所有者が維持管理するのか、それとも共用部分なので管理組合で行うのか、という疑問です。

日常の清掃などは区分所有者が行います。一方、大規模修繕などは管理組合で行います。

通常、マンションは12~13年周期で大規模修繕工事を行います。

大規模修繕工事の中で、バルコニーの防水工事、塗装工事を行いますが、大規模修繕工事の費用は修繕積立金から払われます。

◎◎号室のバルコニーはきれいだから修繕なし。●●号室のバルコニーは汚れているため50万円徴収します、ということにはなりません。

一方、日常の清掃は各区分所有が行いますので、落ち葉が排水溝に溜まってしまって水が流れない、ということのないようにしないといけません。

なぜバルコニーを自由に改装できないの?

主に2つの観点から改装が禁止されています。

そもそも、専有部分も含めて、改装するためには管理規約に基づき管理組合(理事長)に対する承認手続きが必要になります。

管理組合から承認を得てはじめて改装工事ができます。

しかし、管理規約の中で共用部分を各区分所有者が改装することを禁止しています。

バルコニーは共用部分にあたるため、各区分所有者は改装できません。

では、管理規約で改装できると定められていれば問題ないのか?という疑問が湧いてきます。

それについて2つの観点から認められないでしょう。

1つは避難経路となっているためです。

バルコニーはその部屋及び隣接住戸・上階住戸からの緊急避難経路になっています。

避難経路は常に人が通れるようにしなければなりませんので、日よけが設置されていたり、大きな物置が置かれていては万一の際に避難できなくなってしまいます。

あなたは何も改装していなくても、避難経路となる隣の住戸が改装していては、万一の際に困ってしまいます。

2つ目は美観・外観上の問題です。

各バルコニーを自由に改装されてしまうと外から見たときに異様な構造物(マンション)になってしまいます。

もしマンションの外観(外壁の色)を変えたい、というのであれば、管理組合の多数決で決議してマンション全部を変更します。

個々の住戸毎に変更を認めてしまうと一体性のない構造物になってしまいます。

余談ですが、マンションによっては外観が乱れるという理由でバルコニーに洗濯物を干すことを禁止していることもあるくらいです。

それだけマンションの外観というには周辺地域に与える影響が大きいといえるでしょう。

まとめ

バルコニーも共用部分である、ということがポイントです。

マンションでは一見すると専有部分に思える箇所が共用部分である、ということは他にも多くあります。

例えば、玄関・窓・窓枠・オートロック操作盤・専用庭などです。

これらは共用部分です(専用使用権が付いています)。

そのため、玄関ドアを自分の好みの仕様に変更することはできません。

オートロック操作盤が古くて使いづらいからといって撤去することもできません。

(窓だけは各区分所有の負担で変更を認めるマンションが増えてきています。ただ、共用部分であることに変わりはありません。)

共用部分(専用使用権)の利用方法は管理規約に記載されています。

専用庭があるからバーベキューができる、と思っていたけど、管理規約で明確に禁止されていた、ということもあります。

管理規約を確認することで予期せぬトラブルに遭わずにすみますので、購入検討の際にはぜひご確認ください。