ガス給湯器

中古マンションの見るべきポイント~ガス給湯器~

多くのマンションではベランダ又は廊下に個別ガス給湯器が設置されています。

ガス給湯器は室内(キッチン、洗面、浴室)で使うお湯を作り出す役割を担っています。

ガスを使わないオール電化マンションであれば、ガス給湯器の代わりに設置されているのは電気温水器です。

電気温水器は大きなタンクになっており、深夜電力でお湯を沸かし、タンク内の貯めてあるお湯を室内で使います。

ガス給湯器でも電気温水器でも、蛇口をひねればすぐにお湯が出ることや、浴室をフルオートバス(自動湯はり・追い焚きあり等)にすることもできます。

そのため、日々の生活にあたって大きな違いはありません。

しかし、電気温水器は室内に置いてあることも多く、場所を取ってしまうことや、タンクの容量が小さいと1日分のお湯が足りなくなるというデメリットがあります。

中古マンションを購入する際、できれば電気温水器ではなくガス給湯器に換えたいと考えてる人も多くいらっしゃいますので、いくつか注意点をお伝えします。

室外にガス給湯器を設置できるかどうか

マンションの場合、室内と室外の間の壁に穴を開けることは禁止されています。

ガス給湯器を室外に設置するためには、内外に通じる穴がなければ配管を通せないため設置ができません。

そのため、マンションの管理組合に穴を開ける許可を求めることになります。

許可が下りるかどうかは申請してみないと分かりませんが、許可を得られる確度は高いかどうかを見分ける方法はあります。

それは、外からマンションのベランダを見て、他の部屋にガス給湯器が付いているかどうか確認することです。

中でも、あなたが購入を検討している住戸の縦の列でガス給湯器が付いているなら、許可が得られる確度は高いといえます。

縦の列の専有部分は同じ構造になっていることが多いため、他の部屋ができるなら、あなたの部屋もできるでしょう。

この方法で設置の可能性については確認できますが、それでもまれに設置できないことがあります。

それは、ガスの容量不足問題です。

ガスの容量もマンション全体で決まっている

分譲当時、全戸が電気温水器となっているマンションは要注意です。

お湯は電気温水器でまかない、キッチンのガスコンロだけガスを利用しているケースです。

オール電化ではなくガス自体はマンション全体に引き込まれているため、ガス給湯器が使えます。

しかし、マンション全体でガスの容量は決まっているため、電気温水器からガス給湯器に換える住戸が増えてくると、どこかのタイミングでガスの供給できる容量がオーバーしてしまいます。

容量オーバーとは、もうこれ以上はガス給湯器に換えられません、ということ。

ガス給湯器に換えるのは、早い者勝ちだったわけです。

中には、容量オーバーが近いため、「ガス給湯器に換えてもいいけど、16号までだよ」という条件が付くこともあります。

ガス給湯器の号数の目安として、16号:単身、20号:2人家族、24号:4人家族、といわれています。

ファミリータイプの住戸を検討している方にとっては16号のガス給湯器では小さすぎるため、実質的に考えるとガス給湯器には換えられないということです。

このあたりのことはマンション管理会社でも把握していることは少ないため、前もってガス会社に確認しておけば安心です。

全館セントラル方式という給湯システムもある

マンションのお湯をどうやって作り出すのか、ということで、ガス給湯器と電気温水器について説明しました。

これらは各住戸ごとにその住戸内で使うお湯を作る個別給湯器方式です。

一方、マンション全体でお湯を作り出す方式もあります。

一般的にセントラル方式、全館集中方式などといわれています。

その名の通り、マンションのボイラー室などでお湯を作って、各住戸に送り出します。

個別方式と異なり各住戸は個別に給湯器を設置しなくて済みますので、機器の交換、メンテナンスの負担がありません。

(マンション全体でボイラー・給湯管のメンテナンスをしますので、その分の費用は管理組合で負担します)

まとめ

一方、セントラル方式の最大のデメリット(だと私は思ってる)は、フルオートバスの浴室が設置できないことです。

ボタン一つで湯はり・追い焚きができません!

フルオートバスというのは、リモコンで給湯器に指令を出すため、個別給湯器だからこそできる機能です。

お風呂に入るためには蛇口をひねってお湯をだして、お湯が冷めれば熱いお湯を注ぎ足すということに手間を感じないのであればいいですが、一度フルオートバスに慣れてしまうとなかなか戻れないのではないかと思います。

このように、中古マンションの室内お湯事情というのはとても複雑です。

ヴィンテージマンションをリノベーションすることが流行っていますが、インフラの状況についてはしっかりと調べたうえで購入しましょう。