マンション

「マンションは管理を買え」といわれております。

立地が良くてデザインも素敵なマンションでも、管理が杜撰であれば資産価値は維持できません。

逆に、郊外立地で築年数が経過しているマンションでも、管理が行き届いているマンションは中古市場でも売りやすいです。

では、「管理」とはどのようにして見分ければいいのでしょうか?

雑誌等で見かける管理会社ランキング上位の管理会社であれば安心だ、という方もいらっしゃるでしょう。

分譲会社系列の大手不動産会社が安心だという声も聞きます。

しかし、私の経験から申し上げると、これらは全くあてになりません。

同じ管理会社でも担当者・管理人によってこんなにも対応が違うのか、と思うことは少なくありません。

とはいっても、中古マンションの購入を検討している段階でそれぞれのマンションの管理人と話をして、その対応を比較することは現実的ではありません。

そこで、購入前にはこれだけは確認してほしい、というポイントをお伝えします。

管理に係る調査報告書

マンション管理会社が発行する資料です。マンションの財政状態、修繕履歴、注意事項などをまとめた資料です。

特に過去の修繕履歴・修繕積立金の積立残高は確認しておきたいです。

管理組合として借入金がある場合も確認できます。

調査報告書は仲介する不動産会社が取得していますので、具体的に検討する際には請求してみてください。

ただ、調査報告書からは管理の良しあしは把握しづらいです。

財政状態については現時点の数字が記載されているだけで、過去の経緯などの記載はありません。

修繕履歴についても、実施年・工事名が時系列に記載されているだけの場合もあります。

調査報告書は統一された書式ではないため、管理会社ごとのバラバラです。慣れないうちはとても見づらいでしょう。

修繕積立金の残高についてもどの程度残高あれば問題ないのかは、過去の修繕履歴やマンションの規模などによって異なります。

それもあって一概に「ここを見て管理の良しあしを判断しましょう」という項目は上げづらいのですが、1点だけ上げるとすれば過去の修繕履歴についてです。

一般的に、マンションでは10-13年周期で大規模修繕工事を行うことになっています。大規模修繕工事が行われているかどうか確認してみてください。

また、築年数がそれなりに経過しているのに、修繕履歴が直近数年分しか記載がない場合もあります。

記載を省略している・記載が漏れている・修繕を行っていない等、いくつか考えられます。

一番多いのが、管理会社が変更されていて修繕履歴を引き継いでいないケースです。

管理会社を変更することは珍しいことではありませんが、できれば変更の理由を確認しておきたいものです。

変更理由によっては手を出してはいけない危険なマンションかもしれませんので、不動産会社を通じてヒアリングしてみましょう。

定期総会議事録

マンションでは年に1回、区分所有者全員が参加できる定期総会を行うことになっています。

マンション運営に関する重要な議題を審議する場であり、また年に1度の決算の承認を得る場でもあります。

そして、総会の内容は議事録として残すことになっています。

できれば、購入を検討している場合は直近3期分の定期総会議事録・議案書を確認しましょう。

例えば、大規模修繕工事の実施に向けて進めていることや、ペット飼育について規約を改正しようとしていることなど、マンション全体で議論されている問題が把握できます。

また、その年のマンション全体の収支状況が細かく記載されています。

管理費・修繕積立金それぞれがいくら入ってきて、何に使ったのかも分かります。

(未納分がどのくらいあるのかも把握できます)

定期的議事録でぜひみて欲しい項目として、総会の出席者数があります。

3期分を見比べてみても、おそらく出席者は毎年ほぼ同じです。同じような人が顔を出していると思われます。

管理が雑になってくるマンションは、区分所有者が無関心なことが多いです。

無関心な人は定期総会に出席しないため、出席者を確認することも有効だと言えます。

なお、議事録を読むと質疑応答だけで3ページくらいあるマンションもあり、住人の方の真剣度が伝わってきました。

定期総会議事録は仲介する不動産会社でも確認していないことが少なくありません。

実は騒音トラブルがあった、ということも定期総会議事録に記載されていたことがありました。

管理状態を把握するうえで、最も参考になるのが定期総会議事録です。

現地をみて管理状態を確認する

書類で確認できることもありますが、やはり現地を見て管理の状態を確認することが大切です。

駐輪場をみることで住人の年齢層・管理状態が把握できることは以前にもお伝えしました。

他にも、集合ポストの状態を見てみましょう。

事務所として利用しているのか、法人名を載せている人がいることもあります。

チラシが大量にゴミ箱に捨てられている、ポストからチラシがはみ出している、など、見ただけで管理状態が悪そうなマンションもあります。

オートロックの外にマンション掲示板があれば、それも参考になります。

騒音トラブル防止の張り紙が外国語(中国語)で書かれていることも珍しくありません。

外国籍の人が多いのだろうと推測できます。

住人同士のマナーについての注意文が貼ってあれば、文書作成日を見ます。

3年くらい前からずっと貼ってあるのか、ということもありました。

ただ漫然と現地を見るのではなく、管理状態はどうなんだろう?という意識を持ってみることで気づくことは多いはずです。

マンションは管理を買え、といってもその判断はとても難しいのですが、管理が悪いマンションというのは書類・現地をしっかり見ることでわかるものです。

ちなみに、仲介の不動産会社に「管理は良いですか?」と聞いても正しい答えは返ってきません。

彼らは売ることが仕事です。セールストークを鵜吞みにせず、自分自身で判断できる力を持ってください。